インテルやAMDとは根幹が違う,ソフトウェアCPUという発想は,省電力,低熱,小型化,コスト減,のすべてを推進する。数年後,手の中に収まるネットワークデバイスが一般的になって,やっとクルーソーは本領を発揮できる。
トランスメタ社はコムデックス/秋で2003年投入予定の新設計プロセッサ「アストロ」(クルーソー TM8000)を披露した。アストロは現行のクルーソーチップよりも消費電力が少なく,パフォーマンスは大幅に向上している。
PC不況のなかで,製品出荷の遅れ,製品リリースのミス,人員削減など,あまりいい話をきかないトランスメタだが,それでもやはりトランスメタの持つ能力を買いたい。ちょっと先の未来,小さな小さな,握りしめると壊れてしまうような機器がネットワークの入り口となる。その中,にあるべきプロセッサのヒントはクルーソーが持っている。そう考えると,クルーソーの登場はあまりにも早すぎたことを知る。
28年間も無人島で暮らし,戻ってきてからトントン拍子に大富豪になってメデタシメデタシなどというロビンソン・クルーソー漂流記のようなことが現実にあるわけがない。28年後にタイムスリップして,なにも不自由なく暮らせるわけがない。ならば,数十年か先には普通の設計となるCPUを現在持っているクルーソーにも,もうちょっとの時間が必要だ。すでに街角のホットスポットなど,クルーソーのホームゲームとなる環境は現れつつある。その先の未来に,クルーソーの真実がある。
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